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雪国における屋根選びのポイントとは?急勾配・緩勾配屋根のメリット、デメリットや施工事例をご紹介

雪国の家の工夫2023.03.06

雪国で家を建てるときには屋根選びが重要です。

 

雪国ならではの大雪は、何の対策もしていなければ屋根に積もって家を押し潰してしまうほどの重量になります。

 

かといって、屋根の雪下ろしを毎日行うのは大変な労力が必要です。そこで雪国では屋根の形や勾配に工夫をこらし、雪深い冬をかしこく過ごしています。

 

本記事では、雪国の屋根の特徴や、屋根の形によるメリット・デメリット、実例としての施工例を詳しくご紹介します。

 


 

 

雪国の屋根の特徴とは

雪国の住宅で多く見られる屋根には、雪が少ない地域とは違う独特の特徴があります。これは古くから大雪と共存してきた地域だからこその特徴です。

 

 

瓦の屋根より金属屋根が多い

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瓦を使う屋根は全国的に多数の地域で見られますが、雪国では瓦の屋根よりも金属の屋根が多い傾向です。

 

雪下ろしの際に雪を滑り落としやすくするため、金属屋根が使われるのです。

 

 

豪雪地帯は雪止めがない

屋根に雪止めがないのも豪雪地帯の住宅の特徴です。豪雪地帯では1メートル以上の雪が積もることも珍しくなく、その場合の重さはなんと12トン。雪止めが壊れてしまう重さなのです。

 

また、雪かきの邪魔になってしまうという理由もあり、雪止めを設置しない住宅がほとんどです。

 

 

急勾配・緩勾配・融雪式がある

屋根の形や機能が雪国独特のものになっています。

 

急勾配屋根・緩勾配屋根は、それぞれ屋根の形に大きな特徴があります。それぞれ緩急の差はありますが、いずれも斜めに傾いた形になっており、屋根に積もる雪の処理に大きな効果を発揮します。

 

融雪式の屋根とは熱源を使い、屋根の雪を融かす機能がついたものです。ヒーターを使うことが多い傾向にあります。

 

この屋根の形や機能の特徴は、大雪の処理にとても役立つ性能を持っています。次項から詳しくご紹介します。

 

 

急勾配屋根のメリット・デメリット

 

急勾配屋根は、その名称のとおり急な傾斜がついた屋根を指します。雪国の住宅を思い起こすと、この屋根を想像する人が多いかも知れません。

 

急勾配屋根のメリットとして挙げられるのは、一定以上の傾斜がついているため、雪が落ちやすくなり、その重さで住宅が潰れる危険性を下げられることです。雪下ろしの手間がかからず、排雪対策で生活を圧迫されにくいことが大きなメリットです。

 

一方、デメリットは敷地の広さが必要なことです。雪が自然落下するのは良いのですが、落下するスペースがないと家が埋もれてしまいます。そのため、敷地に余裕が求められます。

 

また落ちる雪で怪我をしたり、最悪の場合は人が埋まってしまうなどの危険をはらむこともあり、安全性に対する配慮が強く求められる点もデメリットと言えるでしょう。

 

 

緩勾配屋根のメリット・デメリット

 

緩勾配屋根は急勾配屋根と違い、そのままでは雪が屋根から落下しません。屋根は大きく分けて2種類あり、耐雪式屋根と融雪式屋根があります。それぞれのメリット・デメリットについて見てみましょう。

 

 

耐雪式屋根のメリット

耐雪式屋根はあえて雪を屋根に積もるようにし、雪が自然に融けるまで待つというタイプです。形はM型やフラット型が多い傾向があります。また屋根から雪が落ちないよう、雪止めを付けることもあります。

 

メリットは何と言っても雪下ろしの必要がないこと、屋根から雪が落ちる危険性がないことでしょう。さらに落ちた雪を保管する場所も不要なため、敷地の用途を自由に使いやすいという点もメリットのひとつです。

 

 

耐雪式屋根のデメリット

 

耐雪式屋根のデメリットは、積もる雪の重量が住宅に負担をかけやすいことです。とくに屋根の負担は大きなものになるでしょう。耐雪荷重計算が必須になるため、設計段階から細心の注意が求められます。

 

 

融雪式屋根のメリット

 

融雪式屋根はパイプやヒーターなどを屋根に設置し、雪を融かすシステムです。中でも灯油であたためたお湯をパイプに通して雪を融かす方法、電熱線を屋根の下に敷いて溶かす方法が代表的です。

 

メリットは落雪の心配がなくなることや、屋根に負荷をかけない点が挙げられます。雪おろしの負担を相当減らすことができるでしょう。

 

 

融雪式屋根のデメリット

いっぽう、融雪式屋根は熱源を使うからこそのデメリットも発生します。簡単に言えば、燃料代や電気代がかかるということです。

 

パイプやヒーターが必要になれば、稼働させる灯油のような燃料や電力も必要になります。そのため、燃料代・電気代が設置以前よりも上がる点は覚悟しておいたほうが良いでしょう。

 

 

雪国の屋根の施工実例

実際、雪国の屋根はどのような外観や特徴になるのでしょうか。施工の実例をご紹介します。

 

 

実例①:急勾配屋根の形状を活かしたスタイリッシュなデザインに

 >>急勾配屋根がスタイリッシュな間取りの家の写真をもっと見る

 

こちらの住宅は急勾配がついた片流れの屋根になっています。屋根の下には広いスペースもあり、落雪を受け止められる構造です。

 

急勾配屋根の形状を活かしたデザインは非常にスタイリッシュ。外壁は耐雪性が高いガルバリウムになっており、雪による傷みの軽減が可能です。

 

窯業系サイディングと合わせ、クールでありながらもどこかあたたかみを感じさせる外観になっています。室内には吹き抜けのリビングがあり、雪深い季節でも家族の時間をあたたかく、そしてお洒落に過ごせる空間です。

 

 

実例②:緩勾配であたたかみのある外観に

 >>緩勾配で実面積以上の広さを感じる間取りの家の写真をもっと見る

 

こちらの住宅の屋根は緩勾配になっており、急勾配よりもやわらかく見えるフォルムが印象的です。広い敷地を存分に活かし、バイクガレージやカーポートも備えられています。

 

カーポートは屋根の形状と同じく、雪国では雪対策として効果があります。また、この住宅は玄関からポーチにも屋根がしつらえてあるのも大きな特徴です。これらすべてを合わせると雪対策として非常に大きなメリットが生まれ、冬も快適に過ごしやすい環境が作れます。

 

高気密高断熱である点にも注目です。寒さを防ぎ、あたたまった空気を逃しにくいため、北側に窓を設置してもエアコン2台で暖房効果が持続します。

 

 

実例③:たっぷりと光を取り込めるラグジュアリーな設計

>> 半オープンエアのベランダで風と光を取り込む間取りの家の写真をもっと見る

 

昔の雪国では珍しかったフラット型の屋根。本当に雪国の家なのかと思ってしまうようなデザインです。ガルバリウムの外壁は光の加減で色合いが変わり、その変化を楽しめるのも嬉しいポイントに。

 

雪国では雪が深い時期に採光が難しいとされていますしかしこちらの住宅では、2階に半オープンエアのベランダを設置。1階の大きな窓とともに贅沢なほどの採光性を誇ります。

 

 

まとめ

建築技術の発達により、雪深い地域の住宅ではさまざまなデザインが取り入れられるようになりました。かつては温暖な地域に多かった外観も、対策次第で自由に選択できる時代です。

 

いっぽう、昔ながらの急勾配屋根をハイセンスにあしらった住宅は雪国ならではのもの。選択肢の広がりが楽しめます。

 

お客様の土地のご状況や家族構成など、選択時の条件は多々あるでしょう。アットホームラボでは皆様のライフスタイルにもっとも適した屋根選びをはじめ、理想の住宅建築のサポートをいたします。ぜひ一度お問い合わせください。

 

 

この記事の監修

アットホームラボ代表 青木真大(あおきまさひろ)
二級建築士、二級建築施工管理技士


2006年建築デザイン学部を卒業後、東京と新潟の建築事務所にてデザイン実務を経て、株式会社アオキ住建へ入社。 建築業界で15年間の設計、現場監督経験を経て、住宅事業部の責任者として1,500件以上の新築及び大規模リノベーションに関わる。

 

 

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